LCL/FCL, CFS/CYって何のこと?
貿易の仕事に携わっていると、”LCL”や”FCL”、”CFS”や”CY”という用語を見聞きされたことがあるかと思います。実務経験者でも、正確に理解できていない方もいらっしゃるかと思います。
今回はこれらの用語について、できるだけ簡単にご説明したいと思います。
LCL/FCLとは?
“LCL”(エル・シー・エル)は、Less than Container Loadの略で、要はコンテナ1本に満たない物量の比較的小口の貨物(混載貨物)を指します。「混載貨物」「コンソリ貨物」「コンソリデーション・カーゴ」などと呼ばれることもあります。
一方の”FCL”(エフ・シー・エル)は、Full Container Loadの略で、要は荷主がコンテナを1本単位で借り切って輸送される貨物を指します。精密機械や重量物、段積み不可の貨物はFCL扱いで輸送されるケースが多いです。「フルコン」「CY貨物」と呼ばれることもあります。
よって、”LCL”も”FCL”も貨物のタイプを表してることがわかりますね。
荷主は、これから輸出しようとしている貨物の「重量」「容積」「荷姿」「性質」「形状」等の点から、「安全面」と「費用」を天秤にかけ、LCL扱いとするのか或いはFCLとするのかを決めることになります。
LCL貨物の特徴
小口貨物の場合や商品価格に対して輸送費を極力抑えたいという場合などは、LCL貨物として輸送されることが多いでしょう。
デメリットとしては、同じ仕向地へ輸送される他の荷主の貨物との「混載」便となるため、コンテナへの積み込みや荷降ろしの際、また海上輸送中の揺れ等により荷物へのダメージが懸念されます。このため、小口貨物であろうとしっかりと輸出梱包をされることが奨められます。
またLCL貨物の場合、他の荷主の貨物との混同を避ける目的もあり、シッピング・マーク(荷印、ケース・マークとも)の貼り付けが推奨されます(地域によっては義務付けられていることもあります)。
FCL貨物の特徴
一般的に、「精密機器」「壊れやすいもの」「重量物」「異形物」「段積み不可」などの貨物に対して、コンテナを借り切って輸送することがあります。これらの輸送物は高価であることも多く、商品の申告価格に対して輸送諸経費が占める割合もLCL貨物に比べて低いケースが見られます。
メリットとしては、自社貨物のみの輸送にコンテナを借り切るため、他の荷主の貨物によるダメージ等の影響を気にする必要がない点が挙げられます。とはいえ、ラッシング、結露対策等、輸送品の性質や航路、日数を見極めたうえでの輸送を検討する必要があります。
FCL貨物を輸入する際は、コンテナからのデバンニング(荷降ろし)をする作業場所を確保したうえで手配することが求められます。
CFS/CYとは?
“CFS”(シー・エフ・エス)とは、Container Freight Stationの略で、要は複数の荷主からの(小口)貨物を集積・保管・積載する場所を指します。前述のLCL貨物はこのCFSを経由します。輸出地においてはここでLCL貨物がコンテナに詰め込まれ、輸入地においてはコンテナから取り出され荷捌き(仕分け)がされる場所でもあります。
一方の”CY”(シー・ワイ)は、Container Yardの略で、「コンテナ・ターミナル」と呼ばれることもあります。保税地域内にあり海上コンテナを集積・保管・蔵置し、本船へ(からの)荷役をする場所です。前述のFCL貨物は直接CYへ運ばれ、輸出通関の後に海上輸送されます。
よって、”CFS”も”CY”もそれぞれ海上輸送される貨物が一時保管される場所を表していることがわかりますね。
CFS
CFSは一般的にCYの近くにあり、輸出される混載貨物の積み込み、輸入貨物の荷降ろしや仕分けがされる場所になります。
メリットとしては、何よりも混載輸送による安価な輸送費でしょう。一方デメリットとしては、輸出の場合に仕向地によってはCFSの整備が不十分(いい加減)なケースがあるため、到着地においても貨物の破損や紛失のリスクがあります。ハンドリングに問題があることもあることも多々ありますので、やはり堅牢な輸出梱包と照合が容易にできるように荷印の貼り付けはマストとも言えるでしょう。
CY
前述のCFSが(小口)貨物の取り扱いをするのに対し、CYではこれから輸出されるFCL貨物や外国から海上輸送されてきたコンテナ単位の貨物を一時保管します。
保税地域であるCYでおいてコンテナを保管した状態で輸出入申告を行うことを「CY通関」と呼びます。また、船の入港日時が前後することによるトラックや鉄道による陸送スケジュールとの調整をする役割もあり、デマレージやディテンションの起算となる重要な場所でもあります。国や地域によっては港湾インフラが十分でなく、システムや収容能力の不足からCYで通関を行われないこともあります。
まとめ
この記事が少しでも用語の整理にお役に立てましたでしょうか?おさらいとして、以下のようにシンプルに覚えてしまいましょう。
CFS = LCL貨物の集積・積み込み(輸出)、荷降ろし、仕分け(輸入)をする場所
CY = FCL貨物を船積みまで保管(輸出)、本船からの荷降ろし、通関(輸入)にかける場所
余談ですが、人によってはLCL貨物のことをCFS貨物/CFS、FCL貨物のことをCY貨物/CYと呼ぶこともあります。ですが、↑をしっかり頭に入れておけばこれからは問題ないですね!
少しでも読者の皆さまのお役に立つことができましたら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。