海外と関わりのある仕事

『海外と関わりのある仕事』と聞いて、どのような仕事が思い浮かびますでしょうか?

日頃から外国や輸出入を意識する機会が少ない方からすると、外国語をネイティブレベルで操れるなどの能力がある一部の特殊な人が働いているような、なにかぼんやりしたイメージしか湧かないのかもしれません。断言しますが、そんなことはないです。笑

この記事では、特に語学を活かすことができる仕事に就きたい!と考えている方へ、語学を活かして海外と接点を持つことができる仕事についてご紹介したいと思います。とはいえ、世の中には語学を駆使して活躍されているさまざまな職種の方は他にももっといますので、当記事でご紹介する仕事はあくまで世の中で語学を活かすことができる仕事の代表的なほんの一部としてご理解いただけますと幸いです。

では、let’s go !

旅行代理店

海外支店に配属されることで、海外に住みながら語学力を高めつつキャリアを積める可能性があります。海外支店での業務は、日本からの旅行客の宿泊先やツアーの手配から現地の方の海外旅行の手配など、実に多岐に渡ります。国内勤務であっても、海外添乗においては現地の宿泊先でのやりとりや手続き、タクシーの手配、トラブル対応など、さまざまな場面で英語力が求められます。
2020年頃から新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、ワクチン接種証明の提出や国によって水際対策が違ったりと大変なことも多かったはずですが、相変わらず人気の高い職種です。

オススメの資格 観光英語検定、旅行業務取扱管理者

ホテル

旅行業界にAirbnb(民泊)の存在が知られて久しいですが、外国人の来日客と接点を多く持てるのは都心部のインターナショナルホテルではないでしょうか。そこでは語学力はもちろんのこと、一流の接客やマナーを身につける必要があります。カウンターでの受付業務だけなく、レストランやバーなど、外国からの旅行客を丁寧にもてなすことができる魅力的な仕事がホテルにはあります。
外国からの旅行客が安らげる場所と環境を提供するホテルでは、一流のサービスとおもてなしの心が求められます。仕事を通して身に付いたマナーや所作は仕事以外の日常生活においても役に立つこと間違いないです。
ホテルコースなど、専門的な知識や教養を学べる専門学校もあるようです。

オススメの資格 ホテル実務技能認定試験、観光英語検定

貿易商社

世の中には、ある特定の業界に特化しその業界内で商取引をし輸出入する「(貿易)専門商社」と、莫大な資本力と国内外のネットワークを駆使してインフラ事業や天然資源まで事業の一環とするような「総合商社」があります。前者であればさまざまな業界において多様な商材を取り扱う会社があり、後者であれば国際部などが海外案件に携わります。
外国の企業とのやりとり、契約、受発注、輸出入、関税・租税、外国送金、トラブル対応等、あらゆる場面で外国語(主には英語)を駆使して業務を遂行します。これらの業務がルーティンであるため、語学力の向上に留まらず世界規模でのビジネスセンスを身につけられるのが特徴です。外国の企業との商取引にもっとも身近な立場で携わることのできる職種といえるでしょう。

オススメの資格 貿易実務検定、日商ビジネス英語検定、安全保障輸出管理実務能力認定試験

船会社、フォワーダー

国際輸送において、海上輸送をする船を所有する船会社をはじめ、一般的にフォワーダーと呼ばれる海上/航空輸送を手配する業者があります。日常的に海外の支店や代理店とやりとりをし、輸出入に関係する特殊な書類も多く登場します。独特な専門用語や略語などが頻繁に使われる業界でもあります。多くの場面で英語が飛び交い、国内外の物流を業務を通して身近に感じられる仕事が多くあります。
また、輸出梱包をする梱包会社、ドレーなどのトラック輸送をする運送会社、荷物の保管をする倉庫会社、税関へ輸出/輸入の代理申告をする通関業者などさまざまな業者との均衡が発生します。
『通関士』の国家資格を所有してると就職や手当の面で有利になるケースが見られます。

オススメの資格 貿易実務検定、通関士、国際複合輸送士

メーカー

日本には多くの優秀な製品を製造・供給するメーカー(製造業者)が存在します。外国へ旅行へ行って目にする日本のメーカーの自動車然り、かつては家電製品が国外の多くの国や地域でその品質と性能で高く評価されました。今日でも、優れた製品や部品が多く日本から輸出されています。また、中国などから部材や材料を輸入しているメーカーも多くあります。
会社の規模にもよりますが、受発注や輸出入業務だけでなく、海外の展示会へのアテンド、自社製品の仕様書やカタログの翻訳、輸出管理等、多岐に渡って海外業務に携わるチャンスがあります。

オススメの資格 貿易実務検定、日商ビジネス英語検定、通関士、安全保障輸出管理実務能力認定試験

通訳

外国語を扱う仕事といえばまず通訳の仕事が思い浮かぶかもしれません。通訳といっても、外国からの来日旅行客を相手にするボランティア通訳や、会議やイベントなどで活躍する同時通訳など、いろいろな活躍の場があります。
外国語を学び、それを仕事に活かしたいと考える人は多くいますが、実は通訳者になりたいという人が常に少ないのをご存知ですか?それほどにハードルが高いと認識されているようですが、違う見方をすると他の職種に比べて需要に対する競争が少ない(小さい)ともとれます。
かつて存在した『通検(通訳検定試験)』は、英語系の資格で最難関ともいわれていました。語学力に自身がある人や実際に外国の方と接することが好きな方は、ぜひ通訳の仕事を目指してみてはいかがでしょうか。

オススメの資格 外国語通訳検定試験 TOIFL®️、全国通訳案内士

翻訳

翻訳の仕事は、大きく2つに分けられます。ひとつは「ハリ・ポッター」などの書物や映画の字幕などを翻訳する『文芸翻訳』。そして自動車や機械の取扱説明書や仕様書などを翻訳する『産業翻訳』。外国語における語学力はもちろんのこと、母国語、読解力、業界知識、記号や表記のルールなどを学び、身につける必要があります。
翻訳の仕事に就くには、翻訳会社の内勤スタッフ、翻訳会社や一般企業から仕事を受注するフリーランス翻訳家、一般企業で業務の一環として翻訳に携わるなどが挙げられます。実績がなければ最初から社員として雇用されるのが非常に難しい業界ですので、翻訳会社のトライアルを受けて実績を積むなど個々の継続的な努力が求められます。几帳面な性格の方や読書好きの方が長く活躍されています。

オススメの資格 技術英語能力検定(旧:工業英語能力検定)、JTFほんやく検定

エアライン

海外へ渡航する際、空港ではチェックインなどでグランドスタッフの方や旅客機内ではキャビンアテンダントの方にお世話になりますね。国際空港内でスーツケースを引いて颯爽と歩く姿は、目にする多くの人が憧れるのではないでしょうか。特に外資系の航空会社には多国籍のスタッフが在籍していることが多く、英語はもちろんのこと多様な言語や文化に触れる機会が多いのも大きな魅力のひとつです。
ホテルスタッフと同じく語学力だけでなく接客マナーや礼儀作法を身につける必要がありますが、上述したような仕事に就くのに必須の資格はありません。英検2級、TOEICスコア600台が一般的な目安とされているようです。

オススメの資格 観光英語検定、サービス接遇検定

講師

ご自身がもつ語学力を、学びたい人に教える仕事です。対象は、幼児、学生、社会人、シニアなど幅広く需要があります。語学力もさることながら楽しく継続して学んでもらえるような仕組みやイベントを考えたり、身につけた語学力を活かした進路などの相談に乗るうえで経験値や人間性も度外視できません。教員免許がなくとも、語学講師になることができます。
語学講師になるには、教育機関での内勤講師、語学教室(スクール)の講師、個人でスクールを開業するなどが一般的です。

オススメの資格 小学校英語指導者、CELTA

海外と関わりのある仕事に就くうえでの問題点

語学を活かした仕事には、勤務する地域が限定される傾向があります。超簡単に言ってしまうと、地方より都心部へ、となります。大手のメーカー、商社、船会社、翻訳会社などの企業は圧倒的に都心部に多いですし、ましてやホテルやエアラインのような職種になると都心部のある程度のクラスのホテル、国際便の離発着が毎日ある主要な国際空港に限られます。

とはいえ、7. 翻訳 で記述したように、地方にいながらもフリーランスや起業してしまう方法もあります。ただ、言わずもがなこれには仕事を受注し、遂行し、報酬を得られるだけの、ノウハウ、知識、経験、実績がマストとなります。とてもではないですが、新卒や未経験の求職者にそれらがあるわけがありません。企業には、未経験の人材であろうとしっかり育成し、立派な実務者を育て上げ、世の中に貢献できるような大局的なポリシーをもっていただきたいですね。

とにかく、何かしらのかたちで「実績を積む」ことが何より大事です。

さいごに

ご紹介したオススメの資格からは、『英検(実用英語技能検定)』や『TOEIC』『TOEFL』等のいわゆる一般的な資格は割愛いたしました。日系企業への就職においては、それらのスコアを評価する慣習がなぜか残っているようですが、実務上本当に役に立つかどうかは怪しいところです。
それよりも、前述したような一般的な語学系検定試験のグレードやスコアはほどほどでも、自分が目指す職種や業界で「より具体的に」役に立つ勉強をした方が楽しく、効率が良いです。

高校、大学、専門学校、留学先で外国語を学んでいる方、或いは普段外国語に触れる機会が少ない仕事に従事されている方、今まさに語学を活かして仕事をされているが異業種への転職を考えている方・・・ 立場や環境は違えど、いつかは海外と関わりのある仕事に就きたいと考えていらっしゃる方のご参考になれば幸いです。